電気工事の「幹線引き」とは?作業の流れと注意点

こんにちは。シルバ電設のブログをご覧いただきありがとうございます。当社では新築オフィスビルを中心に、電気工事を幅広く手がけています。今回は、その中でも非常に重要な作業である「幹線引き」についてご紹介します。

「幹線引き」とは、建物全体に電力を供給するための太くて大きな電気ケーブルを敷設する作業のことを指します。一般的な電気配線とは異なり、扱うケーブルの太さや重量、作業の規模も大きく、専門的な知識と技術が求められます。

幹線引きとは何か?

幹線とは、電力会社から送られてくる高圧または低圧の電気を建物内に引き込み、各フロアや各設備に分配するための「大動脈」ともいえる電線です。幹線引き工事は、主幹ブレーカー(分電盤)から各分岐盤までの経路に太い電線を通す作業で、建物の電力供給の基盤をつくる工程です。

この作業を適切に行わないと、電気容量の不足や漏電、最悪の場合は火災のリスクも発生します。そのため、設計段階から綿密な計画と安全管理が求められます。

幹線引き作業の流れ

幹線引きの作業は、大まかに以下のようなステップで進行します。

1. 現場調査とルート確認

まずは建物の構造や使用される分電盤の位置、電気容量などを確認し、幹線をどの経路で通すかを決定します。基本的には元請けの担当者が図面を作ってくれるので私たちはその図面と指示に従って幹線を敷いていきますが、図面通りに通せない箇所があったりする場合は担当者と一緒に話し合い。天井裏、電気室、シャフト(縦穴)などを利用して効率的かつ安全に配線できるルートを選定します。

2. ケーブルラック・配管の設置

まず幹線を引く前に、幹線ケーブルを支えるための「ケーブルラック」を設置します。ケーブルラックは天井裏に走っているハシゴのような形のものです。すでに他の業者がケーブルラックを設置していることも多いのですが、私たちでケーブルラックを取り付けていく事も多いです。幹線は非常に重く、ケーブル自体の自重でたわみや損傷が起きないよう、しっかりとした支持材が必要です。

3. ケーブルの搬入

幹線ケーブルは通常、ドラム状に巻かれた状態で現場に搬入されます。ドラムのケーブルは非常に重く1トン以上あることもざらにあります。長さや重量によっては、クレーンやウィンチなどの機械を使用して運搬・設置する必要があります。

4. ケーブル敷設(引き込み)

ケーブルを実際にケーブルラックに敷設します。ケーブルが非常に太く重いため、人力だけでの作業は難しく、ウインチを使ったり滑車を設けたり、長い距離の場合はパワーボールという機会をケーブルラックに設置して電動で引っ張ったりしながら慎重に引き込みます。途中でケーブルが傷ついたり、曲がりすぎたりしないよう、テンションや引き込み角度にも注意を払いながら少しずつ時間をかけて引いていきます。

5. 圧着・接続作業

敷設が完了したら、ケーブルの両端を所定の位置(分電盤など)に接続します。端子には圧着端子を用い、専用の工具でしっかりと固定します。接続後は絶縁処理を施し、安全性を確保します。

6. 絶縁抵抗測定・通電試験

最後に、電気が正常に流れるかどうかを確認するための各種試験を行います。特に絶縁抵抗測定は重要で、漏電の有無をチェックすることで、火災リスクを未然に防ぎます。

幹線引き作業の注意点

幹線引きは非常に重要な工程であり、いくつかの注意点があります。

● 安全対策の徹底

重量物を扱う作業であるため、作業員の安全対策は万全に行う必要があります。落下物防止、ヘルメット・手袋などの保護具着用はもちろん、機械の操作も熟練者が行います。

● ケーブルの取り回しに配慮

ケーブルは極端に曲げると芯線が断線する恐れがあります。カーブの取り回しや支持点の位置には細心の注意が必要です。

● 作業環境の整備

狭いシャフト内での作業や高所作業になることも多いため、照明や足場、安全帯などを確実に準備しておく必要があります。

● 配線図との整合性

現場作業では、「実際には通せなかった」というトラブルも起こりがちです。配線図との整合性を常に確認し、必要であれば都度調整する柔軟性も大切です。

まとめ

幹線引きは、建物全体の電力供給を支える重要な作業です。安全かつ確実に施工するためには、専門的な知識と経験が欠かせません。当社では、新築オフィスビルを中心に多数の幹線工事を手がけてきた実績があり、品質・安全ともに高いレベルでの施工を心がけています。

もし電気工事に関するご相談や、幹線工事のご依頼がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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