スイッチ結線とは?注意点と現場でのやり方

こんにちは!
今回は電気工事の中でも意外と奥が深く、電気工事士試験にもよく出題される「スイッチ結線」について解説します。
近年ではオフィスビルや大型施設ではリモコン式の電源制御(押すとピッ鳴るような電源)が増え、スイッチを使った照明制御(カチカチッと音がする電源)が減ってきていますが、小規模な施設や店舗、改修工事では今でも頻繁に使われています。
特に電気工事士試験では基本中の基本として覚えておく必要がある内容です。
スイッチ結線とは?

スイッチ結線とは、手動でオン・オフ操作を行う照明スイッチを設置するための配線方法です。
具体的には、電源(分電盤)から来ているケーブル、照明器具から来ているケーブル、そしてスイッチから来ているケーブルをジョイントボックスの中で正しく接続する作業のことを指します。
これが正確に行われないと、スイッチを入れても照明がつかない、または常時点灯してしまうなどのトラブルに繋がります。
現代のオフィスではあまり見ない?
最近のオフィスビルなどでは、リモコンリレー方式やセンサー制御が一般的になってきており、スイッチ自体が壁にないこともあります。こうした場合、弱電ケーブル(例:CPEVなど)をスイッチ部まで通し、Fケーブル(強電)はリモコンリレーや電源系統に直結されていて、従来のスイッチ結線は行いません。
ですが、小規模施設や個人店舗、リフォーム現場などでは、まだまだスイッチ結線が主流です。
ここで求められるのは、確実な技術と、ミスを防ぐ慎重さです。
スイッチ結線の基本構成

スイッチ結線では、以下の3本のケーブルがジョイントボックスに集まります。
- 電源ケーブル(VVF 2芯や3芯)
- 照明器具へ行くケーブル
- スイッチ器具へ行くケーブル(3芯が多い)
スイッチと照明器具が1つずつならすべて2芯のVVFケーブルでもいいのですが、1つの電源から2つ以上の照明と、それぞれのスイッチを取る場合は、スイッチに行くケーブルは3芯ないと結線できません。
ケーブルはそれぞれ色分けされた線が入っており、2芯のケーブルは白・黒、スイッチ用の3芯ケーブルは、白・黒・赤などの配線が含まれています。
ケーブルの色の組合わせに注意!
通常のジョイントでは、同じ色のケーブルをそのままつなげば済むケースが多いですが、スイッチ結線では色が違う線同士をつなぐ場面が出てきます。
例えば一番簡単な、照明器具とスイッチが1つずつのパターンでも、
- 照明から来ているケーブルの黒と、スイッチから来ているケーブルの白をジョイントします。
色を見ただけで判断できないため、スイッチとの関係性を理解することが必要です。
ケーブル接続の手順(ジョイント)
- ケーブルの導通確認
- どのケーブルが電源か、照明か、スイッチかを事前に確認します。
- 絶縁被覆を剥く
- 電工ナイフなどで導線を露出。傷をつけないよう丁寧に。
- 圧着接続
- IV線同士を圧着ペンチで「Eスリーブ(大・中・小)」を使ってしっかり接続。
- 使用するスリーブは芯線の本数と太さによって選びます。2本のケーブルを繋ぐだけなら小スリーブです。
- マジックペンでケーブルの行き先を明記
- 例えば「スイッチ→ボックス」「電源→ボックス」など。
- 後から見たときに配線ミスやトラブルを防ぐために必須。
- ビニールテープで絶縁処理
- 圧着部分はビニールテープを巻いて確実に絶縁します。
現場でのアドバイス
- とにかく確認が命:色だけを頼りにせず、回路図や導通試験をしっかり行うこと。
- スリーブのサイズ選びは慎重に:ゆるすぎると抜け、きつすぎると芯線が潰れて断線します。
- マーキングはチーム作業に必須:あとから来た職人にもわかるように記入しておくと、全体の品質が上がります。
- 照明器具の接続方向に注意:LED照明などは極性を誤ると動作しないこともあります。
イメージ図(ジョイントボックス例)

このように3本のVVFケーブルが各場所から伸びてきて、ジョイントボックスという天井裏などに設置したボックス内に入れられます。
そして各VVFケーブルを剥いて、それぞれ2本の白と黒のIV線を出します。
そして上記のように各ケーブルを圧着ペンチやスリーブを使って繋いでいきます。
この場合どうしても照明の黒とスイッチの白をくっつけないといけなくなるのでややこしいのです。
スイッチはLNの区別がありません。
上記図を見てもらうと分かると思いますが、分電盤と照明の電源(L)を繋ぐ中間地点の役割なのです。
その中間地点をスイッチで繋いだり離したりすることで、電気が付いたり消えたりしているのです。
まとめ
スイッチ結線は、一見シンプルに見えて実はとても繊細な作業です。
新築ビルではあまり見かけなくなったかもしれませんが、店舗工事や住宅改修では今でも必須の技術。配線を間違えると「スイッチを入れても点かない」「ブレーカーが落ちる」といったトラブルになるため、電気工事士試験でも重要な項目となっています。
私たちも現場では「どこから来てる?どこへ行く?」を意識して、確実で安全な結線を心がけています。これから電気工事士を目指す方や、新人さんの参考になれば嬉しいです!
今後も現場のリアルな知識をお届けしていきますので、ぜひまた読みに来てください!